定期検診・メンテナンス
今までの歯医者は痛くなったら行くというイメージがありましたが、大事なことはいかに虫歯や歯周病にならないかということです。
症状が現れてからの処置では、痛みを生じたり、回復や治療費もかかります。
虫歯や歯周病にならないためには、定期的な検診や積極的な予防治療を行うことが重要です。
又、治療終了された患者様が、その後長く現状を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
人間の健康な歯は、1本あたり30万円相当の価値があるとアメリカでは言われており、親知らずを除いて28本の永久歯では840万円相当の財産にもなるのです。
定期検診の重要性
では定期検診とは何をするのか。虫歯の発生の有無をチェックするのはもちろんのこと、歯周病の進行を把握することも大切な検診項目の1つです。そして今ある健康な状態を維持するためには、歯の着色・歯石・バイオフィルムの除去を定期に行うことが何よりも重要です。
歯の着色自体は、実は人体にとっては何の悪影響もなく無害ですが、多くの方にとっては一番見た目の気になるところでしょう。御自身のブラッシングで一生懸命落とそうとするあまり逆に歯の表面を傷つけ、それが原因で知覚過敏で悩まされたり、より着色しやすい表面形態になってしまっている方もいらっしゃいます。歯科医院専門のクリーニング(PMTC)やホワイトニングをお薦めしております。
次に、歯の歯石ですが、実は歯石も人体にとっては無害なのです。ただし、歯石の付着した歯の表面は歯ブラシが行き届きにくくなり、それが原因で歯垢(プラーク)が溜まり虫歯や歯周病を悪化させてしまうのです。しかも、歯周ポケット(歯茎の溝)に歯石が強固に付着すると見た目は綺麗に磨けていても、実は歯周ポケット中で細菌が増殖し、顎の骨をどんどん溶かしていくのです。
最後にバイオフィルムですが、これは非常に有害な存在です。バイオフィルムは私達の目には見えませんが、無数の細菌が協力して歯の表面にこびり付いた膜のことです。これが、虫歯や歯周病の原因になることは言うまでもありませんが、一番の難題は歯ブラシで完全に除去することが出来ないということです。そして歯科医院専門のクリーニング(PMTC)を受けても3~4ヶ月すると再び歯の表面に再形成されてしまうということが最近の研究でわかっています。
だからこそ自覚症状がなくても定期検診は必要なのです。
4ヶ月に1回の定期検診
厚生労働省から推奨されているのは4ヶ月に1回の定期検診です。これは先ほどのバイオフィルムの話にも関連がありますが、特に、乳歯や未成年の永久歯(幼若永久歯)は、歯自体がまだ軟らかく未完成のためカリエスリスク(虫歯になる確率)が高いとされており、4ヶ月に1回の定期検診は、非常に大切です。
補綴物(ブリッジ・入れ歯・インプラント)など、失った歯を補う治療を受けた方は、28本全ての歯が健康な方と比較すると、歯石やバイオフィルムが付着しやすい口腔内環境であることを知る必要があります。現に、1本2本歯を失われた方は、検診を怠ると芋づる式に歯を失っていく傾向が強いようです。
特に入れ歯は、人間の顎の形が常に少しずつ変化していくため、それに合わせて調整しなければなりません。弛んでガタついた入れ歯を装着していると、不便な上、審美面の低下だけでなく、顎の骨を保護する上でも良くありません。
車にも車検がありますように、今痛みなく咬めても補綴物自体は人体にとって人工物であり異物であることには変わりません。長く良い状態を維持するためにも4ヶ月に1回のメンテナンスは欠かせないと考えております。
PMTC(歯のクリーニング)
歯の着色・歯石・バイオフィルムの除去を定期的に行うことは今ある健康な状態を維持するために重要な治療ですが、そのすべてを保険治療で行うことは出来ません。前述のとおり、歯の着色自体は人体にとって悪影響もなく無害ですから、それを取り除く治療は審美領域となるため保険治療では認められていません。
現在、保険治療で認められているのは、歯垢・歯石の除去のみです。
そこでPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング)を行います。歯垢・歯石を除去した後、日頃の歯ブラシでは落とすことの出来ない着色を機械的に除去し、研磨(ポリッシング)、空気と研磨材による微細な研磨、フッ素塗布などを行う予防治療です。
特に歯の表面に付着し成熟した細菌は、多種多様に絡み合いバイオフィルムを形成し、歯ブラシでは全てを取り除くことは出来ません。それらの汚れを一気に落とし、磨き上げるのがPMTCという歯科専門のクリーニングです。
フッ素(フッ化物塗布)
フッ素に虫歯を予防する作用があることは皆様御存知かと思います。歯にフッ素を塗ることによって虫歯を予防することが出来ます。特に小児の乳歯列期や混合歯列期は効果が大きくみられます。なぜならば、乳歯や幼若永久歯は、完成された永久歯よりも効率良くフッ素を吸収し、ハイドロキシアパタイトをフルオロアパタイトに置き換えることで歯の表面を強化出来るからです。
3~4ヶ月に1回のペースで定期的に行い、効果を持続させていくことが最も重要です。当院では9000ppmFと非常に予防効果の高いフッ素を導入し、無料でフッ化物塗布を実施しております。フッ素はお子様にも受け入れやすいフルーツ味(リンゴ等)を御用意しております。又、費用対効果に優れ毎日御家庭で行うフッ素洗口法の薬剤ミラノールもお取り扱い致しております。御相談下さい。
シーラント
シーラントとは歯の溝(小窩裂溝)を埋めてしまう予防法です。
歯の溝には食べ物や歯垢(プラーク)が溜まりやすく、虫歯になりやすくなっています。その溝をあらかじめ埋めてしまうことで虫歯を予防することが出来ます。
幼歯、特に永久歯の萌出直後に施行するのが一番効果的で、歯を削ることなく安全に予防出来ます。従来のシーラントは、フッ素徐放性を有するのみでしたが、当院が導入している最新のシーラントは、フッ素のリチャージ機能を有しています。
前述のフッ化物塗布(ジェル状)を行うことでシーラントの内部に再びフッ化物イオンがチャージされるため、物理的に溝を封鎖するのみならず継続的に歯質を強化するフッ素徐放性を可能にしました。
シーラント処置は、保険治療で行うことが可能です。